2017/10/23

『国宝展』 於:京都国立博物館 part.2

photo : tana

さて、part.2です。1階まで降りてきました。2階でしばらく休憩してました。

photo : tana



彫刻

2階からの流れは番号順に進んでいきます。が、それも85~97番の彫刻までです。彫刻と言っても、ほぼすべて仏像です。奈良博ほどではないですが、京博も仏像や仏教関係の資料に強いです。あとは日本画とか屏風とか、京都の伝統と和物に強い印象です。だからなのか、今回の国宝も、そういうものが多いです。ある程度は網羅していますけど。



《雲中供養菩薩像 北15号》 天喜元(1053)年
平等院鳳凰堂

飛天は美術館で見るのが一番分かりやすく見やすいです。天井付近に飛んでいる時は分かりませんが、案外大きいし、楽器を持って、動きもあって、1つ1つ違うので、見ていると面白いです。

平等院に行けばもっとたくさん見ることができますが、あそこも展示をおしゃれにしすぎて、若干もどかしいところがあります。良し悪しですけど。



7世紀から12世紀辺りの仏像が多く展示されています。清凉寺の《釈迦如来立像》がとてもすばらしかったです。お顔はふっくらとしていて、中国の古い仏像って感じですが、衣の印象や、全体の柔らかさが良いところです。正面の胸から足にかけて、人が触った跡がありましたが、昔は触れて祈って大切にされてきたお像なのだな、と思いました。

平安の仏像はすごく穏やかな表情で、澄んでいて、とてもきれいに見えます。末法思想が広まっていて、人々はけっこう切実に縋っていたと思うのですが、それを受け止める仏像たちは、鎌倉以降のものよりも、たおやかで落ち着いているようです。古い時代の様式と片付けるにはもったいないような。



陶磁

この部屋に何があったのか、あまり覚えていません。陶磁の部屋と言っても、陶器は《曜変天目》しか覚えていません。というか、ここはこのための部屋です。



《曜変天目》 南宋14世紀 龍光院

もうまったく良さが伝わらない画像しかなくて、本当に残念です。一番有名な曜変は静嘉堂文庫が持つ斑点も大きく色も濃いものだと思いますが、龍光院のものは写真では分からない、実際に見なければ輝きや良さやすてきさが見えないものです。

最前列で見る行列があって、最初はそれを避けて後ろから見ました。するとけっこう光っていて、最前列で見たくなったので、5分くらい並んで見たら、思った以上に底の方が光っていてびっくりしました。曜変は見るの初めてかな、わたし。ライトの加減もあると思いますが、それでも光っていて、とてもきれいでした。ものぐさせずに列に並んで間近で見てよかったです。本当は手にとってしげしげ見たいですが、出来ません。

釉薬が変化して模様が出来ると書いてあるのですが、どんな変化が何の理由で起こるのかを知りたいのですが、それは多分分かっていないのでしょうね。分かっていたら、曜変天目もっとたくさんあるはず。世界に3つしかなく、すべて日本の国宝だそうです。

志野茶碗《卯花墻》は、実際にお点前で使ってみたいけど、この天目茶碗は使おうとは思わないですね。使うものではないような気がします。絵画や景色のように、これは鑑賞するのが一番似合います。

Ⅲ・Ⅳ期は《油滴天目》が展示されます。これも一見の価値ありな品ですね。



絵巻物

《信貴山縁起絵巻》や《法然上人絵伝》は見たことがあるし、絵巻物はどうしても下に置く展示になるので、後ろから見えにくいということがあります。人が多い展覧会だと、ちょっと不便ですね。



《絵因果経》 8世紀 上品蓮台寺

これがこの部屋にあったかどうかはあまり覚えていませんが、作品は絵巻物としては初めて見る形態で興味深かったです。上段が絵、下段が経典というもの。絵の内容についてのキャプションはなんと書いてあったか忘れました。唐代に中国で多く作られた経典のようですが、中国では伝存していないそうです。仏教は中国から日本に伝わりましたが、経典類もたくさん伝わってきて、似たようなものが新しく作られて、1000年を超えて今に伝わっている。

伝世品というのは、その歴史を見れば、よくぞ今まで残ってくれたな、とすべてのものに対して感慨深いものがあります。



染織

ここがとても見てよかったなと思う部屋です。初めて見るものばかりで、とても興味深かったです。



《天寿国繍帳》 7世紀 中宮寺

雪舟なんかより、これを見ることが出来てよかったです。《天寿国繍帳》という名前からして、学校で習ったな、と懐かしい気がしますが、本物を見るのは初めてです。写真で見るのも、学校以来かもしれません。読みにくい、難しい字の変な名前だな、と思ったものです。聖徳太子の死後に行ったとされる天寿国の内容を刺繍で表したもので、鎌倉時代に痛んだ部分が修復されていますが、今見ると、奈良時代の原本の方が色鮮やかできれいに残っていて、鎌倉時代の模本の方が色褪せて糸も切れてぼろぼろでした。

奈良時代のクオリティに驚愕です。Ⅱ期10月22日までの展示。良い物見ました。

刺繍と縫い物、挑戦したことがあるけれど自分には無理そうだと挫折したことがある分野なので、手縫いのセーターとか、すてきな刺繍とか見ると、素直に感嘆します。



金工

ここでの見ものは個人的にはそんなになかったんですが、よかったのは《金銅錫杖頭》です。唐8世紀作で、空海が持ち帰ってきて使ったものかも、というものです。傷んでいる所もあまり見られず、古さを感じないものでした。華鬘[けまん]や舎利容器もきれいでした。どこまでも仏教徒の感じなtanaです。

太刀や鎧は興味がないんですよね。戦国時代とか幕末とか、歴女とか刀剣乱舞とかの世界はよく分かりません。戦争や争いは嫌いです。それなら政争の平安と享楽の江戸の方が良いです。



漆工

さて、個人的な最後のお楽しみ、漆器の部屋。いろいろと期待を裏切られた部屋でもありますが、悪くはなかったです。

一番の超絶技巧は《時雨螺鈿鞍》です。螺鈿が全体に施されているのですが、貝が細すぎるのです。黒漆の方は痩せて、貝とは段差が出来ていましたが、貝はそれでも美しく光り過ぎなのです。



《美御前御揃》 16~19世紀 那覇市歴史博物館

《琉球王国尚家関係資料のうち金工・漆工》の内の一揃いです。朱が鮮やかできれいで、そこに沈金か何かで装飾されています。琉球漆器のことについてはあまり知らないので、本州の各地の漆器や装飾技法とどのような違いがあるのかはまだ分かりません。また沖縄には旅行に行きたいと思っているので、今度は普通の観光地だけでなく、漆器についても見てみたいなと思います。1人旅決定ですね、この旅程。

大きな器で王家のものって感じです。丁寧に作られているのが感じられます。

ちょっとびっくりなのは、酒器をビーズの飾りで覆ったウタマヌチというもの。お酒が入っていても、どうやって注ぐのだろうというくらい、全部覆われています。それともただの飾り物なのかな。

いろいろと気になる琉球漆器です。



《沈香木画箱》 8世紀 東京国立博物館

法隆寺に献納された宝物の内、東博所蔵のこれを見ている時、近くの人が「なんで手放したのかな。いらないものだったのかな」なんて、笑って話をしていましたが、いらないものな訳ないだろう、と聞いていてびっくりしました。明治期に皇室に献納されて、戦後東博の所蔵となったそうなので、それを元に東博の中に法隆寺宝物館が造られたのだろうと推測できます。

香木で作られているので、今でもこれが収められている箱を開けるといい香りがするそうです(とキャプションに書いてあった)。

漆器じゃない。まずそこですが、まぁすばらしい品なので、どこのスペースにあっても良いです。ジャンル分けするとわかりやすい面もありますが、感じ取る方が先入観を持つこともあるので、良し悪しです。今回、良し悪しってめちゃ使っています。すみません。

菱形に成形された沈香と、象牙で黒檀を挟んだ細い線で間を埋めています。

象牙で黒檀を挟んだ、という部分が個人的に腑に落ちなくて、見ながらすっごくどうすればそんなことができるのかを考えていました。画像が小さくて悪くて分かりにくいですが、菱形の隙間を埋めるように、象牙の線があります。象牙の部分すごく細くて、間に黒っぽいのがあるのは分かるのですが、黒檀をそんな細く切ることが出来るのか、と思って不思議でした。黒檀はとても固い木です。切るというより、鉋のようなもので削ったのかな。象牙だって、まっすぐ細い線状にするのは難しいはず。簡単に説明してくれるけど、それどういうこと? と1人悶々と悩んでおりました。

そしていい香りというのなら、沈香の香りがどんなものかを体感させてほしかったです。

というか沈香って、ものすごく高価なもので、信長・秀吉・家康がちょっとずつ切り取った痕がある沈香の枝をどこかで見たことがありますが、そんな枝を成形して装飾の材料にするって、奈良時代のクオリティ。



と、ここでpart.1の1階に続く…、のその先です。

いくつかの疑問があり、あまりに気になったので、ちょっと聞いてみてもいいかな~、と思って、近くにいた監視員に「質問することできますか」と声をかけてみたら、質問も聞かずに「まずはご自分で調べていただいて―――」って………。

あのね。調べて分かるようなことなら聞かないし、監視員がただのパートのおばちゃんだってことくらい分かっているし。大概監視員の椅子には、図録や過去の質問くらい用意しといてくれているものなんですが。京博、ちょっと見ている人を舐めているの、って歪んだ苛立ちが…。

2階での正面問題も、象牙の間の黒檀問題も、それは図録にも載っていないし、ネットでも調べて分かることですか。研究誌を探して、北山の資料館にも行って、多分論文の1つ2つ書けそうな問題ですね。そんな労力をかけるのもいいですが、今は大学生でもないので、資料にたどり着くのにすら労力をかけないといけなくてですね、それなら学芸員に聞きたいと言うものです。






その作品のプロフィールのようなもの、来歴や作り方、技法も調べれば大体分かります。漆器に関しては見ればある程度分かります。だけど、展示方法やキャプションの内容というのは、それをした人しか分かりません。見ても分からないもの、どうやって調べるのかすらも分からない疑問なども、図録や一般向けの説明しか無いカンファレンスルームで調べろというのは、ググれというのと同じくらいのものです。

お忙しいのであろう学芸員に、単純に繋いでほしいのでもなく、疑問が生まれた地点のその先を示してほしいのです。

パートであろうと、正規職員であろうと、雇用形態は関係ありません。「展示ガラスに触れないでください」というボードを持ってただ立っているだけで、「質問があるのですが」という人に「自分で調べろ」くらいしか言えない人は、作品を守るために監視することもできないのではないでしょうか。

この対応は、学ぼうとする人への拒絶であり、気付きへの道を閉ざすものです。自分で調べる方法が分からない人もいるじゃないですか。とても残念であり、正直イラッとしました。



博物館という施設が、ただ鑑賞するだけではない、与えられたものだけを眺める場ではない、学びの場、気付きの場であることを望んでいます。そういうものを期待して、見に行きます。未知との出会いを求めて、博物館施設に行きます。そこで感じた疑問を解決するのが図録や図鑑、辞書や史料であり、学芸員の役割であると思います。

何のための展覧会なのか。観光のためではありません。楽しみのために行くのだけど、遊ぶところではありません。素人も素人なりに、楽しみながら、でも真面目に真剣に見ているのです。

あまり質問する方ではないですが、質問してこんな対応をされたことがなかったので、国立博物館でこれはないな、と思った次第です。



もやっとした気分で見終わってしまったから、というのではなく、もう1回《曜変天目》を間近で見て、気に入った《沈香木画箱》ももう1回見て悩み、最後に大きな大日如来さまと不動明王さまを見上げて、終わりました。

途中休憩を何度か挟みましたが、結局3時間くらい博物館の中にいましたね。長い。

展示数が多いというのもあるけれど、1つ1つが見どころ満載なので、省略したものもあるのに、この長さということは、すべてをじっくり見たら、半日くらいかかるかもしれませんね。それもいいと思います。






愚痴ってしまいましたが、全体的にはもちろん良い展覧会でした。展示品はもちろん国宝なので日本にとって重要で大切な品であるのは当然、新しい平成知新館は各階の天井が高くて、大きな屏風や掛け軸も余裕を持って展示することが出来ます。上手く高さを使えないと、スペースが余って見えて、作品が小さく見えるという欠点はあり、それが数ヶ所感じられましたが、まぁどっちを取るか、というこれも良し悪し。

はっきり分かったのは、京博は良しもあり、悪しもあり。愚痴っとモヤッとはアンケート用紙にしっかり書いてきましたが、改善は期待していません。それよりもまたすてきな展覧会やすてきな作品を京博で見られることを期待しています。

そして、奈良時代のクオリティの恐ろしすぎる高さ。1300年前の名も無き職人さんたちはこんな遠い未来にも伝えられ続けることを感じていたでしょうか。1000年後の未来、わたしには想像ができません。



4期に別れているので、展示替え多くて展示する人大変だな、と思います。国宝なので、扱いも最も慎重にしなければならないし。国宝であろうとなかろうと、展示品を雑に扱うことはあってはならないですが。目的のものがあるなら、それに合わせて行くも良し、都合の良い日に合わせて行っても良し。いつ行っても、何かしらお気に入りが見つかるはずです。



余談

photo : tana ©san-x

国宝展の前に下鴨神社に行って「リラックマごゆるり京都」に参加してきました。欲しかったグッズを買って、スタンプを押すだけで、他に3ヶ所も6ヶ所も回るつもりはないです。無駄にリラックマ嵐電には乗ってみたかったですが、嵐山にも用事なんてないですしね。

舞妓(女形?)のリラちゃんたちをしっかりと見てきました。お仕事ごくろうさま。他にも忍者、お殿様、侍、新撰組、八ツ橋があります。来年の1月8日までやっているそうなので、スタンプを集めても、もらえるものはしょぼいですが、興味があれば、冬の京都にもお越しください。

http://www.rilakkuma-kyoto.com/



久しぶりに2つに別れた記事でした。長くなりましたが、読んでくださってありがとうございます^^

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