2018/01/12

『大エルミタージュ美術館展』 於:兵庫県立美術館

photo by tana




新年1つ目の美術館は、神戸です。去年の内に行こうかと思っていたのですが、母も行きたいと言ったので、新年に一緒に行ってきました。翌日に行く「ボストン美術館展」と同様、結構お馴染みになってきている「大エルミタージュ美術館展」ですが、何度やっても足りないくらいの所蔵品があるので、毎回新鮮です。

今回は16世紀~18世紀までの西洋絵画の巨匠たちの作品を厳選した展覧会です。国別に展示されているので、その傾向もわかりやすいですし、移り変わりがありそうなさそうな時代の作品を一挙にまとめて見ることができて、まとまりがある、良い展覧会でした。

床に点の矢印がついています。順路を丁寧に教えてくれているようですが、美術館ヘビーユーザーからすれば、こういうのは有難迷惑な印象です。ライトユーザーには親切でしょうが。わかりやすさという点でも、これはやはり美術館ライトユーザーに優しい展覧会です。



《戴冠式のローブを着たエカテリーナ2世の肖像》
ウィギリウス・エリクセン 1760年代

チケット売り場の向かい側に写真を撮れるコーナーがあります。エルミタージュ美術館を作った女王さまで、公式Twitterのキャラクター、エカ様のモデルです。





1 イタリア:ルネサンスからバロックへ



《聖チェチリア》 カルロ・ドルチ 1640年代後半

ピアノを弾いている聖女の肖像。と思っていたのですが、どうも今の時代のピアノではなさそう。美しい衣装を着て、こちらを向いて微笑んでいる姿は、聖女らしい美しい像ですね。



2 フランドル:バロック的豊穣の時代



《スケートをする人たちと鳥罠のある冬風景》
ピーテル・ブリューゲル2世(?) 1615年~1620年頃

凍った川の上でスケートを楽しむ人々の日常を描いた風景画。とずっと思っていたのですが、氷がいつ割れるか分からない、鳥が罠にかかる、という情景が、一見平和に見える人々の生活が不安定で不確定なものであることを示しているというキャプションがあって、この絵は何度も見たことがあるはずなのですが、新しい見方ができました。

考え過ぎじゃね? みたいなことも思いますが、そう言われればそうかな、という気もします。



《鳥のコンサート》 フランス・スネイデスル
1630年代~1640年代

死んだ鳥が吊るされている静物画はよく見ますが、鳥たちが生き生きと動いて、というより歌っている絵は初めて見ました。画面も大きくて迫力があります。中央付近にいるフクロウが指揮者の役割をしているそうです。

コウモリが混じっていますが、飛ぶものは全部鳥の仲間と思われていた頃なのかな、と思いました。それより、孔雀さんは飛べない上にあいつらめっちゃうるさく鳴くので、コンサートに入れるのはあまりおすすめできませんね。そんなこと言ったら、だいたいうるさそうな鳥ばかりですね。



3 オランダ:市民絵画の黄金時代



《月明かりの川の風景》 アールト・ファン・デル・ネール
1653年~1656年

ネット上に良い画像がなかったので、ポストカード写真に撮って、色合いを調整しました。拾ったのよりマシだとは思うけど、あまり良くはありません。すみません。

キャプションには夜釣りって書いてあったように覚えているのですが、網を引いているので釣りというより漁をしています。月が白く光っているところだけ厚塗りで、光っているのを感じられる絵というのは好きです。



4 スペイン:神と聖人の世紀



《受胎告知》 バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
1660年頃

赤ちゃん天使が肉肉しいのは苦手なことが多いんですが、これはかわいく描かれています。ムリーリョさんは柔らかくて優しいきれいな絵で、ルネサンス宗教絵画ほど堅くなく、ロココほどふわふわしていない中間くらいな印象です。



5 フランス:古典主義的バロックからロココへ



《ヴェールをまとう若い女性》 ジャン=バティスト・サンテール
1699年

全体的に落ち着いた色彩で、黒いヴェールを被っている女性は誰かの喪に服しているのかもしれません。ヴェールの影で目元だけがとても暗いのですが、でもよく見てみると、女性はまっすぐにこちらを見つめています。何かを見透かされるかと思うくらい、静かにまっすぐ堂々と。とても印象的な絵です。



《運河のある建築風景》 ユベール・ロベール 1783年

廃墟の画家と言われるロベールさん、大好きな画家の1人です。廃墟が好きなのもあります。この絵はロベールの最高傑作の1つとも言われているそうです。廃墟の幻想と現実の生活感とが絶妙にマッチした、奥行きも広いとても素晴らしい作品だと思います。



6 ドイツ・イギリス:美術大国の狭間で



《青い服を着た婦人の肖像》 トマス・ゲインズバラ
1770年代末~1780年代初

2カ国合わせているのに6作品という短さが、美術大国の狭間っていうのを表しているのかどうなのか。女性は白いドレスを着て、青いヴェール羽織っているのですが、髪飾りの青さと合わさって、とても印象的なので、青い服となったようです。モデルは謎だそうですが、上流階級という感じです。ロココ風だけど、フランスやイタリア風でもないです。



ボリューム感のある展覧会ではないですが、まとまりのある分かりやすい展覧会だと思いました。

ヨーロッパの国別にルネサンスからバロック、ロココとまとめて見て思ったのは、わたしはフランス絵画が好きらしいということです。イタリアやフランドルなんかも特徴的で好きですが、意外とオーソドックスなものが好みのようです。でもまぁ、それほど意外でもないかな、という気もしますし、自分の好みを知るというのは良い事です。

神戸会場14日で終わります。次の会場があるかと思ったら、去年3月東京から始まった巡回展で、神戸が最後、14日で本当に最後です。寒いですが、是非どうぞ^^



展覧会記事 → https://5kan.jp/burari20170614/