2017/08/04

『技を極める - ヴァン クリーフ&アーペル ハイジュエリーと日本の工芸』 於:京都国立近代美術館

photo : tana



6日までの展覧会、テレビで紹介されていて、是非見たいと思ったので、帰省の日を決めて見てきました。ヴァンクリーフ&アーペル、略してヴァンクリ。世界4大ジュエラーだったかな? その内の1つだそうです。到底縁のない世界ですが、それでも美しいものは見たいものです。

8月の京都は暑いですが、それでも今年は比較的マシな方かもしれません。着方を忘れてしまいそうなので、着物で母(洋服)と一緒にお出かけしてきました^^

うっとりするような、きれいなものばかりで、とっても良い展覧会でした。



インド風ネックレス

重そう。高そう。当たり前のように、プラチナ、ダイヤモンド、エメラルド、と書いてあります。



ハイジュエリーというのは、高い技術で造られた一点もののジュエリーのことで、多くは、というか多分全部オーダーメイドです。

こういうものが欲しいという依頼を受けて、デザイナーがデザインして、それを元に錫で模型を作り、蝋で金型を作り、金銀などで鋳造し、石を選定し、成型し、微調整を繰り返して型に石を嵌めていく、という作業。

錫で模型を作ることは、デザイン画では分からない重量感や立体感を分かりやすくするためのもので、他の工房では省くことも多いそうですが、ヴァンクリでは第一歩の大切な工程として、今でも本物に見えるほど精巧な模型を作るそうです。

工程を映したビデオが、会場の一角で上映されています。それを見たら、いかに細かくて地道な作業かがよく分かります。



ジップネックレス

わたしはジップネックレスが一番気に入りました。欲しい。買えるわけ無いですが。実際にジップは閉まるそうです。普通のファスナーと一緒で根本も別れるそうです。触って確認してみたいんです。



ダンスーズ エスパニョール クリップ

ヴァンクリで人気のバレリーナシリーズの1つ。10点近くが展示されていました。ポーズや形など、同じものは絶対に作らないという信念がヴァンクリにはあるので、どれも1つ1つ違って、そしてどれもがかわいいです。一緒に行った母はイミテーションでいいから欲しいと言っていて、気に入ったようです。



フューシャ クリップ

ヴァンクリの代名詞で特許も取っている「ミステリーセッティング」という方法で作られたクリップ。石を留める爪が見えない方法です。ぴったり隙間なく敷き詰められたような石が、どの角度にしてもきらめいて、とてもきれいです。これも気に入りました。



ヴァンクリは毎年、世界各国で展覧会をするそうですが、今回は日本の京都で、ということで、日本の伝統工芸との比較、コラボをテーマに展示されました。どちらも、すばらしい技術力に裏付けされて制作されてた一点ものの傑作という点では同じですね。



並河靖之 《蝶に花丸唐草文飾壺》 明治時代

有線七宝の分野で、超絶技巧と言えばこの人、というくらい、よく聞く名前です。七宝は好きです。絵のように繊細で、ガラス質だから色褪せない。だけど、この鮮やかさ、華やかさを出すために、一体何回焼いて、何回色を挿して、と考えると途方もない技術力です。



四代長谷川美山 《京都名所図透彫飾壺》 明治-大正時代

超絶技巧の展覧会は最近多いような気がしますが、これは技術力の高さというのもあるけれど、奇跡的な完成品だと思います。透かしが全体に入っていますが、これは一番最初、成型した直後にしかいれることが出来ません。その後、乾かして、素焼きして、絵付けして、焼いて、描いて、焼いて、と何回か焼く工程の中で、よく割れなかったな、という奇跡です。普通のお皿や壺でも、割れることが多い陶芸。計算ではできないのではないかな? できるのなら、それこそ神さまみたいです。



安藤緑山 《柿》 大正-昭和初期

誰がどう見ても、柿。そこら辺においておいたら、間違って食べちゃいそうなくらいの柿です。けれどこれは象牙の彫刻です。牙彫は今は作れないものかな? どれもこれも、本物のようで、象牙という素材が持つ自由さなのか、何なのか。とても不思議です。



十二代西村總左衞門 《孔雀図》 1900-1910年

刺繍絵画の作品。テレビで見た時はこれが展示されていましたが、わたしが行った時には違う孔雀の刺繍作品が展示されていました。でもこれを見てみたかったです。刺繍も気が遠くなりそうな根気がいる技術ですね。今、これほどの大きな作品を作れる人はいるのでしょうか。少なくともわたしが受け継ぐことは無理ですね。



右 - 服部峻昇 《耀貝飾箱》 2016年 / 左 - トンボクリップ

アクリルケースに1つずつ展示されているものもあれば、ヴァンクリだけ、伝統工芸品だけ、こんな風に並んで展示されているのもありました。

飾箱は漆器で、トンボクリップがヴァンクリ。どちらもトンボがモチーフです。漆器のことはわたしはある程度わかりますが、完成させるまでに必要な根気と工程と困難さを理解しているからこそ、単純にすごいなと思います。服部さんのは好みじゃないんですがね^^;



こちらの記事では写真をたくさん見ることができます。

https://www.fashion-press.net/news/28677

こちらの記事では、展示されている様子を見ることが出来ます。

http://www.museum.or.jp/modules/topics/index.php?action=view&id=954



photo : mom & tana

中間で、工房の様子を再現した場所と、壁にジュエリーの拡大写真があって、一緒に写真を撮ることができます。バーチャルで工房の様子を見れたり、パズルがあったりして、休憩しながら、楽しむことが出来るスペースです。



是非行ってみたいと思い、会期終盤で人が多いだろうとは思いましたが、行って良かったです。自分で手に入れることも身につけることもできないけれど、それは絵画でも彫刻でも同じです。1つの芸術として、継承していく技術として、そして単純に美しいものとして、見て楽しめる展覧会でした。

あと、2日! 日本で見れることは当分ないと思うので、是非行ってみてください。ただし、京都はとても暑く、人は多いです。


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