2017/12/30

"Universe" EXO


@SMTOWN

今年最後の記事です。

2012年、EXOが12人でデビューした時、わたしはEXOに夢中でした。ファンクラブが出来たら入ろうと思っていたし、日本でライブがあれば絶対行くんだ、と思っていたし、だけど、ある瞬間から、急速に興味を失って行って、今はもうファンと言うほどでもなくなってしまいました。

自分の熱しやすく冷めやすい一面を知って、やや申し訳ないくらいでした。まぁ後にセブチでも同じことが起こるんですけど…。

けれど、最近また、EXOを聞くようになりました。きっかけは"Ko Ko Pop"って超最近です。デビューの時と同じくらいな衝撃を受けたと言ってもいいかもしれません。

ああ、君たちってもうそんなところにいたのか、という感じでしょうか。

大賞を連続で取って、CDも出せばミリオンってことは当然知っていましたが、その数字的な偉業ではなく、音楽的な成長というか、豊かさが、成熟期を迎えるようになったのかな、と感じたのですね、今から考えれば。

音楽は専門ではないので、単なる印象ですが、そういう印象は大切にしたいと思っています。

それで、今回出た"Universe"です。もう、この歌がすごく好きです。彼らって本当に真面目で誠実だな、と歌を聴いて思います。追ってないのに。知らないのに。こんな優しい歌を優しく丁寧に歌える彼らは信じていいのかな、と思いました。

久しぶりにEXOのCD買おうかな^^



パーティピープル

@치하루ちぱる

EXOは歌は聞くけど、メンバーそれぞれを追う感じではないのですが、歌は聞くのに、歌ってる人には興味ないというのは、歌う人間にすれば、本当に酷い仕打ちだな、と思ってちょっと反省しました。

けれど、方々に興味を持っているわたしでも、見聞きできるものには限界があるので、そこでファンクラブの選別、行くライブの選別があるわけです。わたしが今会いたいのは、ライブで歌を聞きたいのは、SJであり、GOT7であり、Monsta Xなんですね。EXOではないんですが、でも、かつて思い詰めるほど大好きだったことを思い出して、また歌を聴きたいと思うようにしてくれたEXOにありがたいと思うし、離れたファンも引っ張り戻すことはすごいな、と思いました。

番組を見るまでもなく、ファンとも言えないサセンに悩まされ続けている彼らですが、優しい彼らがこれ以上傷つかず、楽しくて幸せな活動が出来ることを願っています。

皆さま、今年もお世話になりました。いつも読んで下さってありがとうございます。また来年もよろしくお願いします。良いお年をお迎え下さいませ〜^^




2017/12/27

1990年4月8日~2017年12月18日


김종현 (享年27歳)

これは、とても個人的な内容だ。わたしの気持ちなど、そんなものはどうでもいい、と思う人はこの記事自体、読まないでください。



正直に言えば、まだ受け入れているとは言い難い。彼にとっては計画されたことであって、その日が来ることは分かっていたけれど、わたしたちただのファンにとっては、あまりにも突然のことで、理解が追いつかない。

彼は病気だった。病院には行ったけれど、効果を感じられず、医者にかかる選択を排してしまった。他の医者にとか、別の方法を、ということは簡単だけど、芸能人として、アイドルとして、それは難しいことだったのだろう。






SHINeeのファンクラブに入るほどではなかったけれど、SHINeeのCDはたくさん持っているし、ジョンヒョンの歌が好きだった。SHINeeとして歌う時はとても力強く、ソロで歌う時はとても優しく、時に軽快に。

大好きだった。本当に。

全ての活動を追って、全てを知っている訳ではないけれど、好きだったんだ。

受け入れることは、多分出来ないと思う。自殺というのは、簡単なことではなく、死というのは、当たり前のことじゃない。好きな人の死なら、尚更。今でも、ジョンヒョンがいないことを、1日に何回か確認する作業が必要だ。いないことが日常になるには、もう少し時間が必要なのだと思う。



生まれてきた苦しみを背負い、あらゆる苦しみが否応なしに降り注ぐわたしたちに、明日があることは当たり前じゃない。回転を止めない地球の上の規則正しく過ぎる1日に、同じものはない。73億人分の1日があって、明日があって、今日がある。昨日までの思い出を胸に、今日という1日を生きる。

18日で止まってしまった君の時間を、誰も代わることができないけれど、明日を思いながら、わたしたちは今日を生きる。






手紙を書いてみた。とても個人的なもので、Blogに載せるような内容ではないのだけれど、それでも一旦吐き出してしまいたいから、ここで書く。読んでもらいたいというよりも、吐き出してしまいたい。そんな気持ちでごめんなさい。ここまででも、読んでくださってありがとうございます。



2017/12/09

GOT7 Japan Tour 2017 TURN UP in 大阪@Zepp Namba


11月3日から始まったGOT7のジャパンツアー。わたしは大阪の11月24日(金)と26日(日)に行ってきました。25日(土)に行かなかったのは、単に3日連続スタンディングはきついと思ったからです。大阪を最後にZeppは終わって、あとは12月20日と21日の武道館が残っているのみです。そちらにも行きます!

メンバーたちのコメントの中に「Zeppツアーは今日は終わりで~」みたいな発言があったので、武道館ではちょっと違うことやってくれるのかなぁ? なんて、ちょっと期待してみたり。

日本では6人体勢になって初めてのツアーだし、払い戻しのこととかもきっと知っているだろうし、いろいろ不安の中でのスタートだったんじゃないでしょうか、と思います。だけど、個人的には2度目のガッセがすごく楽しみで、ゼップっていうのも良くって、結果、すっごく楽しかったです!



1 TURN UP

@GOT7

初めてのガッセライブは6月の代々木の"My Swagger"スペシャルでした。よもやそれが、日本でジェクを見られる最後になるなんて誰も思ってなかったでしょうが…。まぁそれは置いといて、ゼップってなんて近いの! と感動を覚えるのと同時に、前回同様、最初から出し惜しみせず新曲でスタートしてくれるガッセが好きです。

MVの中にもペットボトルゲームやってますが、実際のステージ上でもやってくれます。24日は失敗、26日は確か成功だったと思います。←すでにうろ覚え。

2 Yo モリアガッテ Yo

3 LION BOY

ライオンのCG画像はちょっとお粗末でしたが、まぁ、それはそれでいいでしょう。いろんな人のレポにあった、最後の「ガオー」はJBさんのめちゃくちゃかっこいいドヤ顔でした。

MC

4 離さなければ…

5 STAY

4~6は癒やしシリーズのようで、ゆったりとした曲調が続きます。その中でもこの歌はJ-Popらしくて結構好きです。ガッセの日本オリジナルはCDで聞くと微妙なのが多いですが(←)、これはバラードなのでいい感じです。リンク貼った動画より、もっとずっと歌はうまかったです。

6 SO LUCKY

MC

YJ「癒やされましたか?」「ネー(Yes)」以外答えようがない質問を毎回しているようです。台本があるからね。でも実際、ヨンジェの声って癒やし効果があるような感じがします。単に好きな声質ってだけかもしれません。

次の"ANGEL"という曲の振り付けがけっこうセクシーなものなので、ダンスのお手本をJBさん見せてください、とジニョン。嫌がりながらも、ちゃんとやるJBさん。



7 ANGEL

8 니가 하면

これといい、ネバエバといい、イントロで殺られる曲です。大好きな曲が続きます。

9 Never Ever

@Mnet K-POP

ジェクが体調不良で初週カムバに参加できなかった時のやつですが、図らずも、ちょうどこのような構成で日本でもしていました。

まぁね、ぶっちゃけ、わたしの贔屓はヨンジェとJBさんとジニョンなので、彼らがいれば満足なところがあって、むしろ彼らがいないと歌唱力不足は否めないんですが、ジェクがいなくても成り立ってしまうということころが、彼が日本を諦めた一因のような気もします。悲観的すぎるかな。でも彼がいつ脱退を言い出すか、という虞は今も感じています。

韓国活動曲になると途端にみんなの歓声というか掛け声が揃う、というのがKポライブの恐ろしいところです。わたし自身、何度もいいますが、掛け声は覚えない、いらない派ですので、そこら辺の一体感を味わえないのはちょっと辛いかも…?

MC

ユニットステージになるため、まずマークとJBさんがはけて4人が場をもたせるトークをします。ここで恐ろしい、末っ子組3人と、ジニョンお兄ちゃん1人という組み合わせ。ヨンジェを筆頭にジニョンいじりがすごかった。めちゃ面白かったです。そしてステージ上にいない最年長2人に対しても、「準備まだですかー、遅いですねー」と言いたい放題。お兄ちゃんたちに甘えて、伸び伸びと育っているようです。



10 WHY

かっこいいとしか言いようのない2人。大人な雰囲気を醸していますが、実際の歌の歌詞は女に未練たらたらの男です。




11 この胸に

わさわさと木とベンチが出てきます。小道具やセットはここだけしかありません。最後は映像に合わせてピアノまで。ぶっちゃけいらんのちゃうか、と思いますが、毎回律儀に出てきます。他は箱みたいなのしか使わないのに、なんやこの差は、と思いますが、ユニット曲はツヨンが一番好きです。

ユニットをやることになって、ヨンジェさんの曲を聞いて、これは僕がやるんだ、とジニョンは思ったそうです。バラードだから。JBとヨンジェの声も合うけど、ジニョンとヨン
ジェの声もよく合います。この曲の方が癒やされます。




12 97 YOUNG & RICH

ヤングという言葉は僕たちしか使えないから、あえて使う、というベムちゃん。そして、強調される97年生まれ…。イケイケアゲアゲな感じでいいよ、君らはそれで。ところでベムちゃんの「ダブルB」を聞く度にテンションが上がるのが謎です。




MC

ベムちゃんとユギョムが戻ってくるまで他の4人で場をもたせます。JBさんがユギョムの真似をしながらステージに出てきます。これが案外似てるもので、笑えます。「生意気だ」とか「わがままだ」とかお兄ちゃんたちはさっき散々やられたので、ここでいないときにやり返しています。ヨンジェは今度は1人末っ子なので、ほのぼのにこにこ笑っていて、ひたすらかわいいです。

「どのステージが良かったですか」とヨンジェが聞くので、「ヨンジェ」という声が一番多いのですが、一緒に歌ったジニョンは悔しいらしく「僕の名前も」とリクエストされたので、「ジニョン!」と叫んできました。

あと、生まれ年を聞かれる魔のタイム。94年とか97年とか、全部90年代しか聞かれないという80年代ヌナにはきつい時間。手を上げる子が羨ましい訳ではないけれど、若いな、と思います。99年には「子供~」って言ってました。ヨンジェが同い年の96年と聞いて手を上げた人に「嘘つき~」と言っていて、若干ブラックなところがかわいいかったです(←結局そこ)。

前回はあまり感じませんでしたが、全体的にMC長めです。



13 You Are

埋め込めないのが残念ですが、"You Are"の活動の中では10月13日のミューバンが一番好きです。1サビが終わって直後、ヨンジェからマークにぱっと変わるところがいい。手のひらを返す振り付けとも合っているし、全体的に見やすいので。

歌ももちろん大好きです。寝転がる振り付けは、スタンディングでは当然ながら見にくいですね。

14 skyway

この曲大好きです。『FLIGHT LOG』シリーズは3部作すべて完成度の高いアルバムだと思っていて、中でも2つ目の『TURBULENCE』(正規2集)が一番です。その1曲目が"Skyway"なんで、もうテンション上がりますよね。

MC

最後のターン行きましょう。最後が来るのが早いですね。アンコール含めて2時間半の公演はまぁ普通に言えば長い方です。2時間か2時間弱が多いかな。だけど、好きな曲のオンパレードで、今回ユニットステージという新しいのも見ることが出来て、すっごく楽しかったので、最後とか言われると、もう最後かと思います。アンコールもあるのは分かってますけどね。

というか、スジュ以外のライブにも行くようになって、スパショの4時間は破格であるのだと気付きました。←遅い。2時間でも充分楽しませてくれるグループは楽しいです。セブチは2回行ったけど、出し惜しみされている感じを受けてしまって、楽しかったんですが、次はいいかな、という感じです。カラットは次更新せず、アガセに入る予定です。



15 MEET ME

16 GOT ur LUV

この曲もやっぱりCDで聞いているだけでは微妙なんですが、ライブで聞くとめっちゃノレるしかっこいいです。次の"MY SWAGGER"も同様です。

17 MY SWAGGER

@GOT7

やっぱり歌詞が微妙なのが、一番も問題なんですよね。だからって、日本で数少ないアイドルのヒップホップというのは失くすともったいない気もするし、韓国みたいに自作曲に推移していくと大人しくなっちゃうので、難しいところです。むしろ何かメッセージとか意味とかいらないから、ひたすらかっこいいダンス曲で攻めるのも有りじゃないか、と思ったりしますが、わたしがプロデュースする訳じゃないので、結局出されたものを消費するしかない1ファンであります。

この曲で一番好きなのは「ユッフ~♪」というところです。ベムちゃんの「ダブルB」と同様、無駄にテンションが上がります。



アンコール

最近は「アンコール」と叫ばずに、グループ名を言うようですね。「ガッセブン」は三拍子で言いやすいけど、スジュの場合どうしろっていうんだ、と思ったけど、まぁ何とかなるでしょう←。

拍子を取りやすくするためにか、効果音を途中から入れてくれます。それでみんなの声が揃うっていう。優しい。リハ映像でアンコールが始まりますが、この映像が可愛かったです。そりゃそうだ。

18 FLASH UP

MC

最後のメントタイム。「誰が一番良かったですか」とヨンジェに聞かれたら、素直に「ヨンジェ」と叫ぶしか無い。お客さんみんな素直な方で、ヨンジェファンしか「ヨンジェ」と叫ばないという、わかりやすい感じでした。

ユギョムは「この前よりもっとたくさん成長した姿をお見せ出来たと思います」と言っていたので、歌唱にしてもダンスにしても、曲作りにしても、いろいろとできたことがたくさんあって、上手になってると実感できたのかな、と思います。いいですね、97年生まれ。

JBさんは「感謝ハムニダ」くらいしか覚えてません。ボソボソとかっこいいことを言っていたはずですが、他の人が話している時に、投げる用に結んだタオルをボールみたいにして1人で遊んでいたのが、一人っ子ぽくてかわいかったです。

ジニョンはユニット曲のタイトル"この胸に"というキーワードを使って、相変わらず男前なことを言っていました。24日には少し歌ってくれたのですが、最後の「心配はもう~」で間を取ると「ないから」をベムちゃんに取られました。

ヨンジェは1人前のユギョムが話をしている間、マフラータオルでほっかむりを一生懸命して、そして自分の番が来てほっかむりして話をしました。何ですかね、あのかわいい生き物は。何のためにそんなことをするのか。けっしてかっこよくなるわけではないのに、がんばって顎の下でタオルを結んでいたのがかわいかったです。「めっちゃかわいい」と叫んでおきました。

そんで、すみません。ご贔屓さんしか覚えてません。マークさんは言わずもがな、みんなのもやしもユギョムより大人で、だけどみんなかわいいです。

19 GO HIGHER

20 TURN UP Remix



 



2014年リリースの"A"という曲で存在を知り、"Stop It"(2014年)で完全に好きなグループになったので、思えばライブに行こう思うまで2年以上かかっているのだから、ちょっと個人的な好き度で言えば珍しいグループです。EXOやセブチみたいに一気に好きになって「ライブ行きたい感」がMAXまで上がるより、じわじわ時間をかけて「ライブ行きたい感」が上がる方が、どっぷり浸かる準備のようなものみたいです。個人的な指向です。

それが上がりきって代々木に行って、さあゼップツアーだ、と思ったら、ジェクはもう日本活動には参加しません、という発表があり、まぁ落ち込みますよね、普通に。けど、多分楽しさは変わらなかったと思います。ジェクがいてもいなくても。1人いなくてちょっと寂しいな、くらいは加わるけれど、ガッセのライブの楽しさが損なわれる訳ではない、ということを実感した大阪2日間でした。

ジェクは中国でもアメリカでも1人でいても「GOT7というグループにいるジャクソンです」と言っています。彼のソロ活はめっちゃかっこいい曲で、個性的ですごくいいです。日本より中国で活動したいのは当然です。だから、変わらずに日本に来てくれる6人を応援したいです。つながっていないようで、つながっています。

残念だと思うのは、ジェクが代々木というステージをもっと楽しく彼らしく明るく過ごしてほしかったな、ということです。あんな寂しそうな顔ではなく、最後だと知っていてでもまだ話せなくて辛い、という顔を残すのではなく、日本には来れないけど、本国でがんばるよ、という明るい顔で日本を去って欲しかったことです。

JYPには今TWICEというグループがあるので(スジもいるし)、もうその強さはGOT7や2PMに頼らなくてもいいくらいかもしれないんですが、そして新しい男子グループが準備されているし、GOT7は順風満帆ではいられないかもしれません。だけど、スジュがそうだったように、どんな問題があっても、ファンが彼らを信じていれば、GOT7もまたGOT7として活動を続けてくれるのです。グループが先にファンを信じるのではないと思います。ファンがまずグループを信じて応援してあげなくちゃ、彼らは信じる先を見つけることができないです。わたしはそう思っているので、GOT7という名前の6人でも応援するし、ライブでもいつも通りはじけるし、「ヨンジェー!」と全力で叫びます。武道館でもそうします。一般で取ったから、遠い席だけど、ゼップで近くで見れたから大丈夫です。音が届けば、わたしは何でも楽しるタイプです♪




今回グッズがかわいすぎです★ ヨンジェとJBさんのは購入済ですが、買い足してしまいそうです♥

最後に語っちゃってすみません。最後まで読んでくださってありがとうございます^^


2017/12/01

『有元利夫展―物語をつむぐ』 於:大山崎山荘美術館



アサヒビールが持つ、JR山崎駅から徒歩10分ほどのところにある名前の通り、元々は山荘だった美術館です。古いお屋敷をほぼそのままに利用していて、通路を通っていく新設の展示室が2つあり、広いお庭もあり、入口から見た限りよりもけっこう大きな美術館です。

結構近所の美術館なので、いつ行こうかな~とのんびりしてると会期が終わっちゃった、なんてこともよくある(ご近所あるある?)のですが、一方的に好きなブロガーさんがおすすめされていたので、GOT7のライブで帰省した際の中日に行ってきました。



photo : tana

お天気も良くて、寒くもなくて、紅葉もきれいで、とっても良いおでかけになりました。ただ、予想以上に人が多くてびっくりしました。この美術館で、こんなに人がひしめき合っているのを初めて見ました。展示解説が始まる時間だったので、ちょっとタイミングが悪かったのかもしれません。午前中に行けばよかったと思いつつ、仕方ないですね。



〈ささやかな出来事やささやかなキッカケを大事に大胆につむぐ〉

キャプションに書いてあった、有元さんの言葉です。単に絵を描くために大事なこと、というだけではなく、自分が生み出す作品の中にどのような物語を持たせるのか、描きこむのか、そのために必要なのは決して大きな劇的な出来事などではなく、ささやかな日常のほんの小さな事やきっかけである、ということなのかな、と思いました。



《花降る日》 1977年

有元さんはマチエール(質感・肌合い)を大事にしていました。キャプションにはタイトルと所蔵元しか書いていなくて、その絵が油彩なのか日本画なのかキャンバスなのか板や布なのかよく分からなかったので、聞いてみました。

キャンバスに描いていて、油絵具や岩絵具、アクリル絵具などを様々に組み合わせて、表面を加工して、フレスコ画のように見せているとのこと。

油絵なら油彩、日本画なら紙本(絹本)彩色など、どれか1つに表現できない描き方をしているのですね。

古めかしいような画面、どうやって描いているのか分からない、独特の表現、マチエールに拘っていた人らしい複雑な地塗り。

有元さんの絵は、名前を知らないまでも、誰もがどこかで見たことがあると思います。装幀などにもよく使用されている印象です。だけど、有元さんの絵は実際に生で見るべきものだと、実際に生で見て強く思いました。印刷では伝わらない、決して伝えられない色と凹凸と印象が、生で見ることでビシビシ伝わってきます。



《花咲く頃》 1982年

花束を持った女性、金色の背景、大きな木。黒い所には細かく描きこまれた地があり、これは実際に見ないと分からないのではないかな、と思います。単順な構図だけど、その地や色彩や描き込みは決して単純ではなく、驚くほど複雑です。



有元さんの絵には共通するモチーフや特徴がたくさんあります。

まずは女性。太い腕、太い首に寸胴で、裸かロングスカートを履いています。そして、人物はどれも手元や指の描き込みが曖昧です。他の所はしつこいくらい重ね塗りしたり、塗っては消して削ってなどをしたりしているのに、手元だけは絵具も薄くて、指がはっきり見えません。音を具現かした玉や、花などを持っていることも多いのに、それが少し不思議でした。絵を描くのが下手な漫画家なんかはいますが、有元さんはどうなのでしょう。

あとは花、影、丸窓、布などでしょうか。昼よりは夜、開けた場所よりは森もしくは屋内などが多い印象です。机には碁盤の目が書かれています。音楽好きなのに、五線譜ではないのだな、と思いながら見ていました。そういうものに何か寓意があるのかもしれませんが、ギャラリートークでも特に触れられていないように感じました。静かにゆっくり見たいので、ギャラリートークなどは参加しませんが、ちょうどかち合ってしまって、人が多くて難儀しました。



《ロンド》 1982年

有元さんは音楽好きで、タイトルにもモチーフにも音楽はよく使用されています。チラシにも使用されている《室内楽》もそれに似ている《7つの音》も、玉を音に見立てているそうです。

この作品はその名も《ロンド》なので、音楽その物を女性たちの動きで表しているのかな、と思います。ものすごく高く飛んでます。その飛んでる女性の周囲には砂子(金粉)が蒔いてあります。これも画像ではなく、本物でなければ、見えないものです。

音楽も似ているのかもしれません。聞かなければ分からない。楽譜を見ただけでは伝わらないものが、音にはあります。



《テアトル》 1981年

リコーダーを入れる箱とか、楽譜とか、そういうものも作っています。あとは篆刻、脱活乾漆、陶器、ブロンズもしています。これはブロンズ。展示されていた正面は反対側でした。ちょっと不思議な作品ですね。タイトルはフランス語で「劇場」を意味しますが、その意味を調べて知ったところで、やっぱり不思議な作品であることには変わりませんでした。



《無題(陶器)》という作品が気に入りましたが、画像が見つけられなくて残念です。陶器は広がったスカートに割れがあったのですが、それがヒダのように見えて、とっても効果的な入り方だったので、もしかしてわざとなのかな、などと思いました。ちなみに陶器は唐津焼だそうです。



マチエールに拘るあまり、様々な技法も試していたようで、漆までやっているのはびっくりです。乾漆って面倒な技法なんですがどの程度のレベルでやっていたのでしょうか。乾漆として展示されていたのは、抜いた中身っぽい木の彫り物だったので、どこら辺が漆なのか乾漆なのかよく分かりませんでした。

漆と言えば、ということでもないのですが、《花火の日》という作品の白い所は、ちょうど漆の研ぎ出しと似たような感じでした。重ね塗りして後に表面を削って、白を出したのかなと思います。

《ロンド》で見た金粉が蒔かれているのも、日本画や漆器の技法のようです。様々な手法を駆使して、1つの画面や作品を作り上げる。その最初は「ささやかな」こと。奥が深そうです。今まで絵を見たことがある、という程度の認識でしかなかったですが、今回展覧会を見たことで、好きな画家の1人になりました。芸術家と言った方がいいですね。



《厳格なカノン》 1980年

モデルは奥さんだそうです。解説を傍から聞いていました。布がよく出てくるな、と思います。これもそうだし、《花降る日》のように手に持っていたり、碁盤の目のテーブルクロスとかも。雲の形も独特で、梯子の行き先も不安で、空へ登っていけるような、どこか得体の知れない場所に連れて行かれるような、布の向こう側が気になります。うっすらと梯子が続いているのは描かれているのですが、それ以上は見えません。



photo : tana

photo : tana

この美術館は何度来ても何度も写真を撮ってしまいます。昔は山手館もなかったし、いつ来てもほとんど誰もいなくて、きれいなお屋敷独り占め気分も味わえるお気に入りの場所でした。でした、って今もお気に入りには違いありません。

人が多すぎて、喫茶室に入れなかったのが残念です。リーガロイヤルとのコラボスイーツ、いつもすごく美味しいので、毎回いただいていたのですが、今回は諦めました。



有元利夫さんは絵しか見たことがなかったので、今回いろいろなものを見ることができて楽しかったです^^

とってもすてきな展覧会でした。お屋敷も素敵なので是非行ってみてください。展示室内のソファは座ることができますから、ふかふかで動きたくなくなるくらいの革張りソファで休憩しながら見てください。2階喫茶室側のテラスからの眺めも良いですよ。山荘というだけあって、見晴らしがいいです。お庭も必見です。滝もあるし、芝生もあるし、大きなウサギさん(ブロンズ)もいますよ。



photo : tana