2014/02/17

『アンドレアス・グルスキー展』 於:国立国際美術館



2014年2月1日(土)~5月11日(日)



ドイツの写真家、アンドレアス・グルスキーさんの日本初個展に行ってきました。知らない人だったんですが、チラシを見て「なんかすごいな」と思って、写真作品も好きだし、行ってきました。

企画展のチケットで、他のコレクション展なども見ることができるのでお得です。



冒頭の画像はチラシにも使われているもので、《99 Cent》(1999)という作品です。

大きいです。そして細かい。よく見ると、強盗しそうな人もいますが、それもアクセントなんでしょうか。撮ったままではなく、大分加工しているようですから、どこまでが実物でどこまでが仮想かがよくわかりません。

そういう感覚も含めての「作品」であり、完成品なのだと思います。



《カミオカンデ (Kamiokande)》 2007年

岐阜県にあるニュートリノ検出装置「スーパーカミオカンデ」の内部を撮影した作品です。

《99 Cent》や他の作品もそうですが、どこの何を撮影したか、というよりも、見た感じの画面の面白さ、形の奇抜さ、配色などを重視した作品作りをしているのかなと感じました。

これも「カミオカンデ」を撮影したというより、円が均一に並んだ画面、左右対称、それを裏切る要素の人の姿、の面白さがシャープに際立った作品だと思いました。チラシやポスターにも使われているように、とてもインパクトの強い作品です。



《図書館 (Library)》 1999年

《カミオカンデ》と似た作品ですね。左右対称の曲線、窓(のような四角)と人がアクセントですが、色とりどりの本の背表紙も絶妙なカラフルさ加減です。

この絶妙さは加工によりものかもしれません。



《バーレーンⅠ (BahrainⅠ)》 2005年

サーキット場かどこかを撮影した作品。先にも書いたとおり、どこの何かは重要ではなく、構図や配色を重視していると思うので、見た人が「なんだろう」と思ったり、それを探るため形を丹念に眺めたりする方が、見方としてはいいのかもしれません。

写真作品ではありますが、画面構成や見方としては抽象絵画のようです。



《ライン川 Ⅱ (Rhine Ⅱ)》 1999年

この展覧会でかなり気に入った作品です。緑の芝生と道・川・空のストライプがキリッと効いていて、でも色が淡く、光も曇っていて、気持ちよすぎない感じが良いです。空と緑のラインは切ったようにまっすぐですが、色の加減がまっすぐさを和らげているようです。



《Ocean Ⅰ》 2010年

《Ocean Ⅱ》もありました。どちらもお気に入りの作品です。衛星写真を、丹念に加工した作品だそうです。海岸線はほとんどそのままに、海の色をより深いものにしたとのことですが、どこをどう加工したのか全くわかりません。

加工前と加工後、並べてみてみたいです。手品の種明かしみたいな感じで、そんなことしたらつまらないかもしれませんが。



作品の並びなどもグルスキーさんがこだわったところのようで、作品は大きいか小さいかどちらかだったのですが、バランスよく並んでいました。作品の大分離れたところに作品番号だけ貼ってあり、タイトルもなくキャプションも何もありませんでした。

よって出品リストを見ながら展覧会をみることになるのですが、そこは少し面倒くさかったです。

場所のみならず作品タイトルさえ、作品のそばに掲げられていなかったため、場所やものよりも、画面そのものの面白さを強調したい、見せたい、ということだったのでしょう。

いろいろとこだわりの強いアーティストなのかもしれません。



もう1つ面倒くさいことは、作品前に白線が貼ってあり、それを超えるとアラームがなるそうです。そのアラームなのか、何度も「ピンポーン」となっていて、ちょっと気になりました。

自分でも踏んでたりしてましたが、鳴ることはなく、どこまで踏み込んだらアラームが鳴るのか、試してみたい衝動に何度かかられましたが、我慢しました。



そんなこんな面倒なところは多少ありましたが、初めて見る感覚もあり、世界はこんな見方もできるんだなと思うこともできた、よい展覧会でした^^


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