『猫を抱いて象と泳ぐ』 著:小川洋子 文春文庫 2011年7月
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小川洋子さんを初めて読みました。
買った動機は、何よりもタイトルに惹かれたのです。
「猫を腕に抱いて、象とともに中空を漂っている少年」をイメージした時、すごくファンタジーでノスタルジーな絵が浮かんできたので、読んでみようかな? と思いました。
チェスのことは何も知りません。したこともないです。
棋譜はときどき出てきますが、細かいルールの話などはあまり出てこないので、知らなくても違和感なく読めました。
この話の重要なところは少年と象です。
そして「自分の居場所」のこと。
主人公の少年はもとより、登場人物が皆それぞれ、望むと望まざるとに関わらず自分の「居場所」に入り込み、そこで語ります。
「自分の居場所」というのは難しいですね。
いるべき場所というものに出会うことも、そうだと確信することも少ないし、ずっといたい場所にずっといられることも稀かもしれません。
「自分の居場所」というものをどのように捉えるかは人によって違いますし、登場人物たちのあり方を否定する人もいるかもしれませんが、わたしは少年やその他登場人物たちの姿勢にある種の「覚悟」を感じました。
ラストもよかったです。
寂しい、あっけないくらいの最後でしたが、未来を感じることができました。
普段は、読んだことのない作者の本はあまり買わないのですが、今回は読んでよかったなぁと思いました。
たまにはタイトル買いもいいものです(*^▽^*)
ちなみに、解説はネタバレ系なので最初に読まない方がいいです。
読者が読んで感じることや読み取ることを、解説者が自身の言葉で全部書いています。
こんなに最悪な解説は読んだことありません。
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