2016/12/05

『ランス美術館展』 於:福井県立美術館





フランス、ランスにあるフランス絵画の宝庫、ランス美術館の展覧会に行ってきました。tanaは現在、仕事の関係で福井在住なんですが、こちらで何が不満かって、見たいと思う展覧会がないことです><

そんな中! 珍しく福井で見ごたえのありそうな展覧会があると知って、前売り券も買って、見てきました!

とてもいい作品ばかりで、とっても楽しかったです^^ ランス美術館所蔵のフランス絵画が中心のフジタで終わる構成です。



第1章 国王たちの時代

ヤーコブ・ヨルダーンス(と思われる) 《サテュロス》 17世紀

第1章は17~18世紀の絵画が中心です。典型的な肖像画も多かったですが、印象に残ったのはやはりこれです。

正面に立って見ると、目線が合うのでとっても怖いです。



リエ=ルイ・サンブルー
《ソフィー夫人(またの名を小さな王妃)の肖像》 1776年

この時代といえば、こんな感じです。細部もきれいに書き込まれていて、バランスもとれたきれいな肖像画です。こういう典型的なものも好きです。

上の絵の迫力というか、イメージとは大分違いますね。



第2章 近代の幕開けを告げる革命の中から

ジャック=ルイ・ダヴィット(および工房)
《マラーの死》 1793年

革命家マラーが暗殺された場面を描いた絵画です。今回のメイン作品。

死の苦しみというよりは、革命やその想いに殉じた栄誉の死という描き方で、マラーをより一層高みへ押し上げようとした絵でもあります。画像が小さくて見えにくいかもしれないですが、顔は少し微笑んでいて、刺された痛みなどは何も感じません。実際はもっと陰惨な場面だったはずなのに、革命っていう、尋常でない日々の中で起こった「死」だから、こんなにも、恍惚として、非現実的な絵なのかな、と感じます。

上半分がほぼ真っ黒で、肌の白さとか、より劇的な効果が出ているのかと想いました。



第3章 モデルニテをめぐって

アルフレッド・シスレー 《カーディフの停泊地》 1897年

うろ覚えですが、確かキャプションには、家族で出かけた時の場面を描いたと書いてあったはずです。海辺を眺める女性と子供は、シスレーの家族。鮮やかな色使い、丁寧すぎず、雑すぎず、とてもいいシスレーだな、と思って、今回の展覧会の中で大好きになった絵の1つです。



ポール・ゴーギャン 《バラと彫像》 1889年

タイトルにもなっていて、画面にある彫像は、ゴーギャン作らしいですが、借金の形にとられたそうです(キャプション、うろ覚え)。

ゴーギャンはもともと好きですが、人物を描いたものよりも、花の絵とかそういうもののほうが好きかもしれません。生命力に溢れているんだけれど、ゴッホよりギトギトしてなくて、モネより美しすぎないというか…。例えが悪いかもしれない。けど、ゴーギャンはたまに大好きなんです←。



ところで、今回一緒に展覧会を見た友人は、絵はもちろん、展覧会にもほとんど行かない人で、よく付いてきてくれたな、という感じだったんですが。当然のようにゴーギャンを知りませんでした。会場にいた人も「何か名前聞いたことあるね」って話ていた人がいたんですが、わたしとしては、ものすごく有名人だと思っていたのに、驚きでした。後で聞いたら、ゴッホは知ってるって言ったのに…。

自分が知っていることって、世間でどの程度の認知度なのか、全く分からないことがあります。



第4章 フジタ、ランスの特別コレクション

レオナール・フジタ 《マドンナ》 1963年

ランスには、フジタが自分で建てて装飾もしたという礼拝堂があるそうです。そのために、ランス美術館にも、フジタコレクションがあるそうです。それで前半の印象はちょっと薄れてしまった感もあります^^; 彼の作品はいろんな意味で強いですからね。美術館所蔵の油彩画から、礼拝堂のための下絵、テンペラ画までいろいろありました。

日本人の作品として見ても、フランス人の作品として見ても、彼の世界観とか絵画イメージは、他に類を見ない独特なものがあります。フジタはフジタでしかない、と言うか。彼自身としては、何かはっきりとした帰属がほしかったのかもしれない、と思う時はありますが、自分が思うところと、世間の評価は一致しないし、そのギャップも重要なのか、と思います。

自分でもわかりにくい文章になってしまいました^^; フジタさんは難しいのです。嫌いじゃないけど、好きと素直に言えない感じ。



最後はフジタさんに持って行かれた感はありますが、全体として、とても見ごたえのある、とてもいい展覧会でした! 福井では珍しい大型展覧会。熊本、静岡、と来て25日まで福井で開催中。その次は広島へ行きます。その他、となっているので、またどこかへ行くのですかね? 地方都市中心に巡っていますが、大都市巡回展と変わらない見応えです。あまり美術館へ行かない、という人も楽しめるんじゃないかな、と思う作品たちです♪


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