もう終わってしまいましたが…。3月末頃行ってきました。同じ日に、同じく神戸で開催中の『チューリヒ美術館展』も行っています。
この2つの展覧会はともに、「日本・スイス国交樹立150年記念」のイベントです。
2つとも、とても見応えのあるすばらしい展覧会で、とても楽しかったです!
《バラのある自画像》 1914年 |
晩年の自画像。職業画家からスタートして、だんだんと独特の世界を作り上げていきました。家族や奥さんなどを見送った経験から、どこか寂しい感じの自画像、作品の雰囲気があります。
《オイリュトミー》 1895年 |
リズムを大切にして、意識していたそうです。「オイリュトミー」とは「良いリズム」という意味です。身体の形、動き、流れが生み出す空気感というか、そういうものにリズムを感じて、描こうとしていたのかと思います。
祈りになり、踊りになり、絵画になると、こういう絵になるのでしょう。
おじいちゃんたちですが、画面の中で整然と並び、絶妙な角度で配置されています。
遠くで見ると調って、近くで見るとけっこう荒い線とタッチです。背景が全体的に白・緑・赤っぽいグラデーションになっていて、それも画面の統一感に一役買っているのではないかと思っています。
《感情Ⅲ》 1905年 |
《オイリュトミー》と対になる作品だそうです。人物の向きも逆で、男女の対比もあるでしょう。色彩もこちらの方がより豊かです。
良いリズム、それにプラスした色彩。
感情というのは、案外というか本当は、目には見えない、表情には現れないものなのかもしれません。
怒っている、泣いている、笑っている、戸惑っている、それらの感情は、分かりやすく目に見えれば楽ですが、大概心の内に隠されて、当り障りのない曖昧さに変わってしまいます。
《ミューレンから見たユングフラウ山》 1911年 |
《オイリュトミー》や、チラシにもなっているまるで踊っているような女性の絵が有名なようですが、風景画も色々描いています。
スイスの山々。輪郭がはっきりしていて、のっぺりと塗られているのに、全体的に見るととても立体的で大きく見えます。
山の絵はたくさんありましたが、基本的に雲の形が変です。
《「全員一致」のための構図習作》 1912-13年 |
ハノーファー市庁舎会議場の壁画のための習作。
とても面白い絵だと思いました。全員挙手で賛成、という絵なんでしょうが、一人ひとりの手の上げ方、ポーズが違ってて、みんなすごくはりきって手を上げているという感じ。
ホドラーさんは「シャヴァンヌを敬愛し、クリムトのフレスコ画に惹かれていた」(会場内キャプションより)そうです。だから、壁画制作にも積極的にしていました。
シャヴァンヌもクリムトも大好きな画家です^^
壁画なので、本物の完成作品は現地に行かないと見れません。会場には、モノクロ写真と、作品を映した動画がありました。動画もいいですが、自分の見たいところが見れないので、写真をモノクロでなくカラーにして大きく展示してもよかったのではないかと思いました。
《バラの中の死したヴァランティーヌ・ゴデ=ダレル》 1915年 |
癌で死んだ奥さんを描いた作品。
画家の職業病というのでしょうか、記録せずにはいられない衝動のようなものがあったのかなぁと思います。
愛する人の死を受け入れることはし難いのに、描くことで、それを現実として受け入れざるを得なくなってしまうのではないかと思って、個人的には辛いのではと感じてしまいます。
描く時の感情は、それこそ本人にしか分かりません。
とても愛情に満ちた、暖かい絵だと思いました。こんな風に看取ってもらえるなら、怖くないのではないでしょうか。
ほぼ初めて知る画家でしたが、とてもよい作品が多く、気に入りました。ヴァロットンもとてもよかったし、ホドラーもそうだし、スイスの画家はなかなか個性的で面白いです^^
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