先月末に『ホドラー展』と一緒に見てきました。場所は少し離れていますが、同じ神戸の美術館です。
ホドラーもとてもよかったですが、こちらの方がたくさんの画家の作品を見れるし、「すべてが代表作」という文句を付けるのも頷けるくらい、見応えのあるすばらしい作品ばかりでした!
セガンティーニ
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ジョヴァンニ・セガンティーニ 《虚栄 (ヴァニタス)》 1897年 |
描き方とか、全体の世界観が「いいなぁ」と思って、気に入った画家です。そう思って、他の作品を調べて見てみたら、すでに好きで保存していた作品の画像が出てきました。
名前を覚えず、絵だけ気に入って見ていたんですね。
水に写った自分の姿に見入る少女の絵。
細かく描き込まれた画面なのに、透き通るような、あるいは得体のしれない雰囲気が好きです。
ホドラー
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フェルディナンド・ホドラー 《日没のマッジア川とモンテ・ヴェリタ》 1893年 |
午前中に『ホドラー展』でもたくさん見ましたが、こちらにも比較的たくさんありました。これも丁寧に描きこまれた作品で、案外普通の風景画です。
《
遠方からの歌》(1917)のような作品もいいですが、こういう普通っぽい絵もいいです。
モネ
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クロード・モネ 《睡蓮の池、夕暮れ》 1916/22年 |
モネの「良い」睡蓮の絵、だと思います。悪くなりかけ、っぽいですが、まだ良い方だと思います。本物の方が、もう少し色が鮮やかで、より夕暮れの印象が強いです。
個人的に好きな睡蓮とそうではない睡蓮があります^^;
ナビ派
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フェリックス・ヴァロットン 《日没、ヴィレルヴィル》 1917年 |
東京で見たヴァロットンもお気に入りの画家。人物画もよかったですが、これもとても良いです^^
ただの風景画に見えて、全然現実と違うような感じです。黒いモヤが何か分からないし、その手前の薄緑色も分からない。赤い空と青紫っぽい色の海も、その真中にある一本の赤い線も、とても不思議で、見るほどに引き込まれます。
左右対称。海の中の赤い線はなくてはならないポイントです。
表現主義
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エルンスト・バルラハ 《難民》 1920年 |
ドイツの彫刻家、劇作家、画家。いろいろな表現方法を駆使する人です。
戦争容認から、自身が体験した後、反対派に転向。そのため、ナチスから退廃芸術に認定されて、破壊されてしまった作品もあるそうです。
こちらもタイトルが《難民》ですから、反戦芸術になるのでしょうか?
今回の展覧会で、一番か二番かそれくらいに気に入った作品です。とってもすばらしい彫刻だと思います!
彫り跡とか、曲線の角度とか、バランスとか。何度も周りを行ったり来たりして、見入っていました。疲れ果てたような、嘆くような、鬼気迫る表情も、目が離せない理由の1つです。
難民の姿だけでなく、心情も表現している作品ではないかと感じました。
抽象絵画
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ピエト・モンドリアン 《赤、青、黄のあるコンポジション》 1930年 |
抽象絵画が好きです。
その中でも特に好きなのが、こちらのモンドリアンです。
何が好きって言うのは特に言えないんですが、でも大好きです! 色彩でしょうか? 構成? 長年かかって突き詰めた境地なだけあって、ものすごく完成されている絵画です。
抽象画というのは、見る人によっては、「誰でも描ける」なんて言いますが、わたしは絶対に無理だと思っています。それはただの線ではなく、ただの色ではなく、ただの傷ではなく、理由があって、必ずそこになければいけないものなのです。理由を持たない、見ているだけの人には生み出せない画面なのです。
個人的にも、このモンドリアンのように、無から色彩と完璧さを生み出せたら、と思うことがあります。
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ワシリー・カンディンスキー 《黒い色斑》 1921年 |
クレーも好きですが、カンディンスキーも好きです^^
この人は、色彩と音を対比させているそうで、黄色がトランペット、濃紺がチェロで、黒がもっとも響かない音だそうです。
緑はビオラでしょうか? ピンクはきっとフルート。赤はティンパニだったらいいな、と思います。単に、自分が好きな楽器なだけです。意味は無いです。
ジャコメッティ
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アルベルト・ジャコメッティ 《立つ女》 1948年 |
ジャコメッティも大好きです。倒れそうで倒れない。細さと長さ。地に足がついていないようでいて、足が一番大きくしっかりと地面を捉えている。そんな感じ。
これなどは、超まっすぐ。ブレも歪みもない、まっすぐさ。折れそうだけど、そうではない。立っているのです。大好きです。
シュルレアリスム
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ルネ・マグリット 《9月16日》 1956年 |
独特の世界観で、広く愛されているマグリット。ダリとかデ・キリコと違って、不気味さがモチーフのきれいさに隠されているからでしょうか? 木とか、月とか、鳩とか、雲とか。
今度、夏には京都で展覧会がありますね。まとめて見る機会は少ないので、夏休みに実家に帰って見に行こうと思っています^^
章立てが画家や主義ごとに分かれていたので、見やすかったです。ある程度、時代ごとになってます。
チラシの文句通り、どれも代表作と呼べる作品ばかり、知っている画家ばかりで、そんな意味でも見やすい、親しみやすい展覧会だったと思います。見どころ、見応えがありすぎです。
わたしは西洋絵画が好きなので、知っている画家ばかりでしたが、もしあまり西洋絵画を見る機会がない人が、何か見てみようと思っているなら、『チューリヒ美術館展』ははずれがないので、良いと思います^^
おすすめの展覧会です!